諸論点の中立的考察

諸論点について、私見はできるだけ述べず、ちまたの主張を公正中立に比較・分析する。

【13】追跡アプリと監視社会(04)「信頼できる国家」論

jbpress.ismedia.jp

■JBPRESS/森田朗 2020年4月28日(火)08:00配信
『国家による保護と統制をどこまで許容できるか』
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60314

 

(引用開始)
現代の福祉国家において、健康で文化的な生活をすべての国民に保障し、国民各自に最適の行政サービスをきめ細かく提供するためには、国家は、国民についての詳細な情報を保有せざるを得ない。また、社会の状況についても詳細なデータを収集し、それを活用することによって、安全で効率的な社会を実現することができる。
<中略>
国家に不信感をもつのではなく、信頼できる国家を作ることを考えるべきであろう。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

マイナンバーを活用したマスク配布や
 協力金の振込みは、賛成。
・問題は、「信頼できる国家」という表現。
 少し、安易で危険な発想にも見えるのだが、
 考えすぎだろうか。
・この概念に過度に依存してしまうと、
 マイナンバーにとどまらず、位置情報の収集など、
 まさに「国家による監視活動」についてまで、
 免罪符となりかねないのではないか。
 (マイナンバーと位置情報とでは本質的に
  監視社会としての意味合いが
  異なるような気がする。)
・たとえ意識の高い政治家が10年、20年の間
 「信頼できる国家」を実現できたとしても、
 それが50年、100年もつだろうか。
・将来、例えばポピュリスト政治家が、
 財政の大盤振る舞いや
 中央銀行による株価の買い支えなどで
 国民の歓心を買い、
 そのウラで「信頼できる国家」を担保する
 各種システムを静かに骨抜きにしていっても
 選挙で負けなければ政権は維持される、
 といった事態は、考えられないか。
・感染追跡アプリの問題も、例えば、
 位置情報を使わずに感染追跡を行おうとする
 研究がなされている。
 まずは、このような、
 プライバシーとの両立を
 最大限に目指す工夫を
 追求するべきではないか。

・仮に、どうしても、より強力な措置が必要だとしても、

 情報収集期間は危機時の短期間に限定すべきではないか。