諸論点の中立的考察

諸論点について、私見はできるだけ述べず、ちまたの主張を公正中立に比較・分析する。

【16】テレワークと残業強制 (03)中断時間帯の振替

www.nikkei.com

 

日本経済新聞2020.4.24(金)
『企業も柔軟な時間設定を』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58437010U0A420C2KNTP00/

 

(引用開始)
2010年からテレワークを導入するサイボウズでは、子どもの面倒をみる旨を社内SNS(交流サイト)を通じて上司や同僚に報告すれば、業務時間中の離席が可能にしている。業務時間は後送りしたり、別日に振り替えたりする。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

 

・時間管理が問題なのであれば、
 サイボウズのように、
 中断時間帯を他の時間帯に
 振り替えればいいだけではないか。

 

【15】公的保険と民間保険(04)雇用調整助成金の特例の公平適用

www.nikkei.com

 

日本経済新聞2020/4/25付
『【ずばり答えます】雇用調整助成金とは
  失業予防 コロナでパートなど広く対象に』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58465000U0A420C2PPD000/

 

(引用開始)
経営状況については通常は直近3カ月の売上高などが前年同期比10%以上減少する必要がありますが、特例では直近1カ月で5%以上減少に緩和されました。休業などの計画書の事後提出も認めています。支給日数の上限は通常、1年100日などとなっていますが、緊急対応期間は別枠で日数を確保します。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・「通常の場合」と「新型コロナ特例」の
 比較表は、分かりやすく、よくできている。
・おそらく、今回の特例の、
 「通常の場合」との基本的な考え方の違いは、
 新型コロナによる経営状況悪化は
 当該企業だけの責任とは言い切れない、
 という発想があるからではないかと
 思われる。
・であれば、本来、
 これは新型コロナだけの特例と
 ではないのではないか。
 リーマンショック東日本大震災なども
 同様ではないか。
・さらにいえば、
 災害の規模によって差別することは
 適当だろうか。
 新型コロナは全国的なので特例を受けるが、
 熊本地震は熊本だけなので特例を受けない、
 というのは、不公平ではないだろうか。
・なぜなら、被害を受けた企業の立場では

 「災害という不可抗力によって
 経営が悪化した」という点では、
 どちらのケースもかわらないからだ。
 新型コロナで休業したらカネがもらえるけど
 別の疫病で特定地域だけロックアウトされた
 場合はカネがもらえない、というのは
 公平ではないのではないか。
・今後は、
 不可抗力のケースだと認められた場合には、
 その災害等の規模によらず、
 今回と同等の特例を適用することと
 すべきではないか。

 

【14】追跡アプリと監視社会(05)「ソビエト連邦とナチスドイツ」

r.nikkei.com

日本経済新聞 2020年4月24日2:00配信
『【大機小機】「コロナ戦争後」 見えぬ秩序 』
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO58426680T20C20A4EN2000

 

(引用開始)
歴史を振り返れば、世界大恐慌が生じた1930年代の危機時、その状況から最も早く立ち上がったのは全体主義国家のソ連ナチスドイツとされる。今日、従来の自由主義国家もなし崩し的な戦時経済、全体主義的な発想に向かいだしている。
(引用終了)

 

■素朴な感想

・誰の名言か忘れたが、「強権国家は、結局、もろい」
 という言葉を思い出した。
・この記事に、強く共感する。

 

【13】追跡アプリと監視社会(04)「信頼できる国家」論

jbpress.ismedia.jp

■JBPRESS/森田朗 2020年4月28日(火)08:00配信
『国家による保護と統制をどこまで許容できるか』
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60314

 

(引用開始)
現代の福祉国家において、健康で文化的な生活をすべての国民に保障し、国民各自に最適の行政サービスをきめ細かく提供するためには、国家は、国民についての詳細な情報を保有せざるを得ない。また、社会の状況についても詳細なデータを収集し、それを活用することによって、安全で効率的な社会を実現することができる。
<中略>
国家に不信感をもつのではなく、信頼できる国家を作ることを考えるべきであろう。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

マイナンバーを活用したマスク配布や
 協力金の振込みは、賛成。
・問題は、「信頼できる国家」という表現。
 少し、安易で危険な発想にも見えるのだが、
 考えすぎだろうか。
・この概念に過度に依存してしまうと、
 マイナンバーにとどまらず、位置情報の収集など、
 まさに「国家による監視活動」についてまで、
 免罪符となりかねないのではないか。
 (マイナンバーと位置情報とでは本質的に
  監視社会としての意味合いが
  異なるような気がする。)
・たとえ意識の高い政治家が10年、20年の間
 「信頼できる国家」を実現できたとしても、
 それが50年、100年もつだろうか。
・将来、例えばポピュリスト政治家が、
 財政の大盤振る舞いや
 中央銀行による株価の買い支えなどで
 国民の歓心を買い、
 そのウラで「信頼できる国家」を担保する
 各種システムを静かに骨抜きにしていっても
 選挙で負けなければ政権は維持される、
 といった事態は、考えられないか。
・感染追跡アプリの問題も、例えば、
 位置情報を使わずに感染追跡を行おうとする
 研究がなされている。
 まずは、このような、
 プライバシーとの両立を
 最大限に目指す工夫を
 追求するべきではないか。

・仮に、どうしても、より強力な措置が必要だとしても、

 情報収集期間は危機時の短期間に限定すべきではないか。

 

【12】追跡アプリと監視社会(03)Bluetooth型の欠点

mainichi.jp

 

毎日新聞2020年4月24日<朝刊>

『【社説】コロナと個人データ 活用目的と範囲を明確に』
https://mainichi.jp/articles/20200424/ddm/005/070/058000c

 

(引用開始)
追跡アプリは官民が連携して開発中で、利用者に無料で提供される。スマホにダウンロードした人同士が一定時間近くにいると、近距離無線通信「ブルートゥース」を使って履歴が記録される。感染が分かれば、保健所を介して近くにいた人に通知が届く仕組みだ。
アプリは希望者のみが使い、通知は匿名で行うという。ただ、外出自粛で個人が一定時間接触する人の数は減っており、結果的に感染者が特定される可能性もある。
(中略)
位置情報を使わなかったにもかかわらず、シンガポール国民のプライバシーを巡る懸念は根強く、利用は全人口の約6分の1にとどまる。シンガポール政府は「4分の3が使わないと効果が上がらない」と苦慮している。日本も同じ課題に直面する可能性がある。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

 

・前段の
 「結果的な感染者特定」は
 たしかに難しい問題ではあるが、
 当局による監視社会の問題とは
 区別して議論する必要があるのではないか。
・後段の
 「利用者希望者が少ない」問題も、
 アプリの使用・携帯を
 法律で強制する手もあるのではないか。
・総じて、
 プライバシー保護一般の問題と、
 当局による監視社会の問題とを
 ごちゃまぜにして議論している傾向はないか。
 たしかに後者は、場合によっては
 新型コロナウイルスよりも危険かもしれないが、
 前者は、人命に優先するほどの法益では
 ないのではないか。

 

【11】公的保険と民間保険(03)雇用調整助成金の迅速化

www.nikkei.com

 

(引用開始)
数人で運営する中小・零細の飲食・サービスは、労働基準法で定める就業規則などの書類を作っていないことが多い。
(中略)
加藤勝信厚労相は10日、手続きを簡素化する特例措置を打ち出した。必要な書類や記載項目を減らし、受給までにかかる時間を2カ月から1カ月に縮めた。申請に必要としていた出勤簿や給与台帳がなくても、カレンダーに書いたシフト表などで代替できるようにした。
給与台帳の裏付けは、従業員の給料水準を労働局が把握するのに欠かせないが、コロナ禍で急収縮する経済の最後の生命線といえる雇用維持を優先する格好だ。厚労省は事後の抜き打ち検査で補う方針だが、ある幹部は「今回は政治判断。どんな企業でも申請してほしい」と語る。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・失礼しました。休業を補償する枠組みは
 もともとあったのですね。
・しかしながら、必要だから書類提出を
 求めているのであって、
 時間がないからといって
 書類を省略したら、不正受給が起きかねない。
・それに、どんなに省略したとしても、
 限界はある。
・今回は緊急事態であり、やむを得ないが
 今後は、「プッシュ型サービス」化
 することは検討できないか。
就業規則やシフト表などの
 必要書類は、平時から自動アップデート
 しておけばよいのではないか。

 

 

【10】遠隔操作ロボット(01)テレワークの起爆剤としての期待

www.nikkei.com

 

日本経済新聞2020.4.21(火)02:00
『ディープな起業を今こそ 大企業700社にも役割』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58271320Q0A420C2TCR000/

 

(引用開始)
例えば遠隔操作で細かな作業ができる人型ロボ。オフィス業務はテレワーク化が進むが、現場で体を動かして働く人は出勤せざるを得ず、不安や不満の声を聞く。これがあれば工場の仕事のテレワークが夢と言えなくなる。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・応用範囲の広い、野心的な取組み。
・従来はテレワークになじまない
 職種とされる、
 医療、交通、インフラ保守、
 ベビーシッター等にも
 代替できないか。