諸論点の中立的考察

諸論点について、私見はできるだけ述べず、ちまたの主張を公正中立に比較・分析する。

【09】テレワークと残業強制(02)育児との両立

www.nikkei.com

日本経済新聞2020.4.22(水)朝刊
保育所休止で企業奔走
 三菱商事、在宅業務中の世話認める
 ベルフェイス、シッター利用に10万円』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58335870R20C20A4TJ2000/

 

(引用開始)
三菱商事は、子どもの年齢や人数を問わず、世話をしながら仕事をしてもよいとした。これまでも在宅勤務を認めていたが、生産性の観点から子どもを保育所に預けるなどして「職場と同じ環境で働くこと」が条件だった。
(中略)
小学校や保育所が休みになった場合のベビーシッター利用について、内閣府は1家庭あたり月に最大5万2800円までとしていた助成額を、月26万4000円まで引き上げる特例措置を4月以降も当面延長することを決めた。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・「世話をしながら仕事」は、裁量労働制と同じく、
 時間管理ルールとの折り合いが問題となる。
・前回ブログ
  https://sna-public-issue.hatenadiary.com/entry/2020/04/17/005243
 と同様の問題意識。

内閣府のベビーシッター利用の特例は、
 あくまで当面の緊急避難的措置とみられる。
 (この特例を恒久化したら国の財政がもたない)
・とすると、その後はどうするか。
 タダのスープは存在しない。
 月26万円を今後は保険の仕組みでカバーするか。
 それとも発想を変え、たとえば
 「シッターロボット」などで代替する
 イノベーション解決型を模索できないか。

 

【08】公的保険と民間保険(02)レイオフと雇用保険の射程

www.itmedia.co.jp

 

■IT Media2020.4.23(木)05:00
『ロイヤルリムジン「乗務員600人全員解雇」で広がる波紋
 単なるブラック企業か、それとも経営者の「英断」か 』
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2004/23/news023.html

 

(引用開始)
・従業員が自分の意志で辞める「自己都合退職」との大きな違いは、「失業保険給付のタイミングが早い」ということと、「受給期間が長い」という点だ。自己都合退職の場合、保険受給できるのは最短でも3カ月+1週間後。会社都合退職ならば、それが1~2カ月後まで短縮される。
(中略)
・会社側にとっての問題が、「同一事業所への再雇用」を前提として失業保険を受給させた場合、それは「不正受給」となり、受給した金額の3倍を罰金として支払わなければならなくなる可能性があることだ。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・早期救済の必要性は理解できる。
・しかしながら、現行の雇用保険にそれを背負わせるのは
 スジ違いではないか。
 (そういうことであれば、あらかじめもっと高い
  保険料を集めておかないと、財政がもたない、
  という話になりかねない。)
・今回は緊急措置として国庫から雇用保険
 補償金を充当することで対応しつつ、
 今後は、(東日本大震災のケースを含め)、
 こういう災害・疫病などでの一時的なレイオフ
 一定の割合で発生するという現実を
 念頭におき、新たな保険制度を
 現行の雇用保険の隣に併設するしかないのではないか。

 

【07】電子政府(01)プッシュ型行政サービス

news.yahoo.co.jp

 

■YahooNews2020.4/15(水) 17時49分 公開
新型コロナウイルス感染拡大が露呈する「平時の備え」 -「日本経済の再構築」が問いかけるもの-』(法政大学経済学部教授 小黒一正)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kazumasaoguro/20200415-00173485/

 

(引用開始)
今回の緊急事態に対し、日本でもデジタル政府の構築が進み、マイナンバーやマイナポータル等で、タイムリーな所得情報を把握できる仕組みが存在すれば、迅速かつ的確に現金給付が実行できたはずである。平時のうちに備えができなかったことが悔やまれるが、いまからでも「日本経済の再構築」に向けた議論を開始することが望まれる。
(引用終了)

 

■素朴な感想

・応用範囲の広い、重要な指摘である。
 電子政府のみならず、
 日本経済の閉塞打破の起爆剤ともなり得るもの。
・コロナ禍を契機として社会全体で
 危機意識を共有した今、
 真剣に議論していく必要がある。
・デメリットとしては、どのようなものが
 考えられるのだろうか。
 (今のところ、
  住基ネットマイナンバー、納税者番号制
  の時のようなステレオタイプの反対しか
  思い浮かばない)

 

【06】フェイクニュース対策(01)FB注意喚起カード表示

www.itmedia.co.jp

 

■IT MEDIA2020.4.17(金)10時33分 公開
Facebook、新型コロナのデマ投稿に「いいね」した人に注意喚起カード表示』

 

(引用開始)
Facebookは4月16日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症に関する虚偽投稿の拡散を防止するための新たな対策を発表した。サードパーティーのファクトチェッカーが虚偽だと報告した投稿に「いいね」したりコメントを付けたりシェアしたりしたことのあるユーザーのニュースフィードに注意喚起カードを表示する。
このカードはニュースフィードのストーリーズのすぐ下に表示される。(中略)世界保健機関(WHO)の「Myth busters」ページへのリンクをシェアするボタンと、リンクを開くボタンが付いている。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・投稿そのものを削除する手法ではなく、
 そのすぐ下に注意喚起カードを
 表示するという手法は、
 表現の自由への影響を最小限に抑える工夫
 として評価できる。
・ただ、虚偽情報だと事実認定するまでには
 それなりに時間がかかる。
 たしかに削除であれば
 慎重な調査が必要だろうが、
 このような「両論併記」であれば
 虚偽の「疑い」が生じた段階で
 ただちに注意喚起カードを表示する
 ということでもよいのではないか。
・具体的には、
 サードパーティからの報告だけでなく
 当事者・利害関係者からの申立てを
 トリガーにする、とか。
・その代わり、虚偽情報と断定するのではなく、
 「異議が寄せられています」という
 表示にとどめる。

 

【05】公的保険と民間保険(01)コロナ休業補償にみる民間保険の限界

www.nikkei.com

 

日本経済新聞2020.4.17(金)朝刊
『損保、コロナ休業に補償 感染発生の店舗向け検討
 「要請で営業自粛」は対象外』

(引用開始)
一般的に損保各社の感染症の被害を補償する保険は、エボラ出血熱感染症法に該当する感染症など事前に対象を明示する。保険料は事前に明示した感染症が発生する確率をもとに算出する。未知のウイルスである新型コロナは保険契約時には想定されておらず、損保各社は当初「保険料の前提が成り立たなくなる」と補償に消極的だった。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・これでは、「保険」の意味がないのではないか。
・今回のような感染症対策や、年金、医療といった公的保険を、
 営利ベースの民間保険会社に委ねることは
 やはり現実的に困難ということなのだろうか。
・公的保険の政治利権性や非効率性を考えると、
 公的保険の民営化に魅力を感じていたが、机上の空論だったか。

【04】追跡アプリと監視社会(2)行動追跡なき感染追跡は技術的に可能か

monoist.atmarkit.co.jp

jp.reuters.com


■ロイター通信2020.4.17(金)08:34『新型コロナ感染追跡アプリは個人情報保護を、欧州委が提言』

(引用開始)
欧州委員会は、(略)「感染追跡アプリの目的は個人の行動を追跡することではないため、位置情報は必要ではなく、推奨されるものでもない」とした。
米国自由人権協会(ACLU)は、感染追跡アプリでは個人の行動を追跡するよりも、携帯端末間で交わされるブルートゥースのシグナルを利用するべきだとしている。
アップル(AAPL.O)とアルファベット(GOOGL.O)傘下グーグルは(略)ロイターに対し、両社の技術を採用する感染追跡アプリに位置情報の収集を認めるかどうかに関する方針を策定中だとした。
 (引用終了)

 

■素朴な疑問

・技術的な疑問だが、そもそも、
 携帯端末間で交わされるブルートゥース
 シグナルを利用すれば、
 行動を追跡しなくても
 感染を追跡することができるのだろうか。
 (どういう技術なのだろう?)

 →(4/20追記/上記@IT記事を拝見して)

  なるほど。匿名識別子を
  普段からユーザー端末に蓄積していくことで
  中央集権的な行動追跡を行うことなく
  感染追跡を行うということか。
  これはいろいろ応用範囲が広そうだ。

 

・これが可能なら、監視社会は回避可能かもしれない。

 

※4/20一部更新

 

【03】遠隔授業と規制(01)授業動画を削除する必要性

www3.nhk.or.jp

 

NHK-NewsWeb2020.4.17(金)『臨時休校 ユーチューブ活用した授業動画の配信を推進へ 北海道』

 

(引用開始)
道教育委員会は、ユーチューブを利用して授業の動画などを配信することを以前から認めてきました。ところが、運用の規定を細かく定めて申請しなければならず、さらに許可までの手続きに時間がかかることから、実際にはあまり利用されていないのが現状でした。(中略)
道教育委員会は、今回の措置は休校中の特例だとして使用の目的を家庭学習の支援に限定し、学校が再開したら動画を削除するなどのルールを守ることを求めていますが、この異例の事態を可能なかぎりの柔軟な対応で乗り越えたいとしています。
(引用終了)

 

■素朴な疑問

・これまで、「運用の規定を細かく定めて申請しなければならず、さらに許可までの手続きに時間がかか」っていたのが、なぜなのか、どういう理由によるのかを知りたい。
・今回の措置についても、「休校中の特例だとして使用の目的を家庭学習の支援に限定し、学校が再開したら動画を削除するなどのルールを守ることを求めてい」るのが、なぜなのか、どういう理由によるのかを知りたい。
・おそらく、これらは共通する何らかの(彼らなりの)懸念があるから。
・そのうえで、両立させる「知恵」は、ないのだろうか。